꒰๑ ᷄ω ᷅꒱

ゆめにっき時々ぽえま~

ゆめ 9

10/14


私には鬼が見える。広くて大きなおばあちゃんの家に、鬼は突然現れた。いや、わたしが姿を見せてしまったのだ。人が影に入っているとき、鬼は人を見つけられない。人間と鬼は生まれながらにして会わないようにうまくできてるものだったのに、それを壊した私には鬼が見えるし、鬼も私が見える。─食われる!
突如大柄な男が現れ、鬼の頭をワインボトルで殴った。二回殴られ鬼は気絶した。
「はやく準備しろ!!」
そう言われてわたしは自分の部屋に逃げ込み、鬼が苦手なライトとポケットティッシュを入れたポーチを、部屋の地下に投げ込んだ。部屋の外では鬼の咆哮が聞こえている。
しばらく経ち部屋のそとに忘れ物をしたことを思い出して恐る恐る部屋から出た。さっきまで唸りをあげていた鬼とワインボトルを持った男はいなくなっていた。部屋を出てまっすぐ歩いた先にはワインやコーヒー豆の貯蔵庫がある。ガラスで作られた棚に瓶や袋が並べられている。棚の向こうには先ほどとは別の、
背丈の小さい一つ目の鬼がいて、床をはう小動物に狙いを定め、差し足忍び足で近づいて行く。わたしは棚越しにその光景を見ている。見つかったらどうしよう。そう思うとその場から動けない。などと考えていたそばから鬼に見つかってしまった。鬼がこちらに向かってくる!どうしよう…!為す術がなく立ち往生していると、ワインボトルの男が突如現れ鬼を言葉のみで追い払った。
私たちは自己紹介をした。そして流れで異世界へ行くことになった。私の部屋の地下は異世界へ繋がっている。まずは様子見と言うことで二人で地下に入った。するとどうだろう、異世界は鬼に支配され、人の見る影もなかった。男はこの世界で鬼と戦っているという。鬼の多さに私は呆気にとられた。これからこちらに暮らすのか。

おばあちゃんちに戻り、移住のための荷造りを始めた。
広い畳の部屋でおばあちゃんとお茶をする。襖が開いており外の光が差し込んでくる。おばあちゃんちがお茶を運んでくる。
「おばあちゃん、鬼がいる危ないよ」
襖の外側で、おばあちゃんが歩いてくる反対方向から鬼が縁側を歩いてるのが見えた。人が日を浴びて歩くとき、鬼は影を歩き、鬼が日を浴びて歩くとき、人は影を歩く。この世の規則であるかのようにそれは成り立っている。それが壊されない限り人は鬼の脅威に脅かされることはない。
「はいはい、いませんよ鬼なんて」
私を軽くあしらうと、おばあちゃんはお茶ののったおぼんを畳においた。お茶をのみながら私たちは色々と話をした。でもあまり仲良くはなくて、お別れの前に抱きついてみたら拒絶された。うまくいかないなあと思う。お揃いの着物を着ているのに。
私は荷造りを続ける。